今年に入ってから数回、御幸のサポート会へ相談に来られた I さん。
自閉症のお子さんを持つお母さんです。
先月久しぶりにおいでになり、その後の報告をして下さり、
「今度、とある会合で発表するので、こんなものを書きました。」
とレポートのコピーを見せて下さいました。
息子さんとのこれまでのことが書かれたA46枚のワープロの文章。
じっくり読みたかったので、もらって帰りました。
就学前~保育園~小学生~中学生、とその時々の、おそらく Iさん一家の分岐点になったえあろう出来事が、丁寧な文章で書かれてありました。
明るく、前向きなお母さんだなとお見受けした、そのままのお人柄がしのばれる内容でした。
集団生活をする中で、障がいを持つ人たちは、様々な困難に出会います。
中でも発達障がいは、理解されにくい点もあって周囲から誤解を受けることがあり、より生きづらさを本人は感じることになります。
その時々の子どもの『困り感』に気づき、適切な支援をする必要があるのです。
Iさんの文章の中にもそういった状況になられた出来事と、その時にどう対処されたかが書かれていました。
「親はあれこれ不安に思うが、それ以上に不安を抱えているのはこの子なんだ。その不安を少しでも取り除いてあげたい。」
この言葉は、障がいがあるなしにかかわらず、親としての真心を表していると思います。
自分のことで恐縮ですが、私は、自分の不安が強いが故に、子どもにおこる困難を受け止めるより、事がおこる前に排除しようとする傾向にあり、子どもの不安感を思いやる前に、自分の不安から逃れることに先走りがちです。
この子が不安に思っているんだ、困っているんだ・・・と、子どもの『困り感』に気づき、共有することが、最近やっとなんとか、できるようになってきました。
Iさんは、周囲の人々とのつながりも大切にされているようです。
先生、同級生の保護者、地域の大人、お母さん仲間・・・
「障がいを持つ子どもの親同士が語り合い勉強する場は絶対に必要。自分が漠然と抱いていた不安を語り合うことで明らかにしてホッとしたり、ヒントをもらったり、勇気と安心と喜びがもらえる。」
と書かれています。
以前、サポート会のスタッフであるお母さんに、子どもが発達障がいと診断された知り合いのことで相談した時、彼女も同じく、「仲間作りの大切さ」についてを話してくれました。
その時彼女の助言に耳を傾けながら、彼女もまたしんどい道のりを頑張ってきたんだな・・・と感じた事を思い出します。
悩みを打ち明けたり、話すだけで、なんらかの気づきをもらえる・・・。それは、同じ悩みを抱える仲間がいるんだ、ひとりじゃないんだ・・・という安心感にもつながります。
これもまた、障がいがあるなしにかかわりませんね。
「書くこと、話すこと、仲間を作ることが自分にとっては重要だった。」と、Iさんは書かれていますが、私も同感です。
ストレスに弱く愚かな私にとって、こうして文章を書くことで心の整理をし、仲間と話すことで様々な気づきをもらい、深く自分を見つめることが必要だったのです。
Iさんの文章を読みながら、色んなことを思いました。
サポート会の立場は、どううつってるんだろう?・・・とか、今後どうしたらいいんだろう?・・・とか、時折考えます。
「仲間で助け合う、励まし合う、思いを共有する。」
そんな立ち上げの時からの初心を忘れてしまいそうな出来事に、時にぶつかります。
しかし、そんな時、必ず今回のIさんの文章のように、その初心を思い出させるモノに出会います。
それには、どんな意味があるのか・・・自問しながらやってきました。
子育てをするうえで、どんな状況にあっても、辛さや喜びを共有できる仲間がいるということは、とても心強く、また、自分だけがこんなことで悩んでいるのかも・・・という孤独感がなくなるだけでも、楽に子どもと向き合えると思うのです。
自分がそうだったから、孤独で辛かったから、だからこの会が必要だった・・・
そんなことを、Iさんの文を読んで、おもいました。
今回、事前にIさんに了解をいただいた上で、この記事に貴重な文章を引用させていただくことになりました。ありがとうございました。
Iさんが、このレポートを発表される会合は・・・
【母と女性教職員の会】
11月9日(土)15:00~ 労働会館「雅」にて
「子どもの療育を考える」第3分科会
です。
一般の方も入場可能だそうです。
台風が近づいています。かなり気温も下がり、一気に秋が深まりそうです。
大きな被害が出ない事を祈ります。